糖尿病
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NODマウスにおける赤血球内Superoxide Dismutase (SOD) 活性と膵ラ島細胞膜抗体 (ICSA) の推移
天野 和彦横野 浩一播 穣治八十 新治米澤 一仁志伊 光瑞今村 諒道馬場 茂明大柳 善彦
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1986 年 29 巻 4 号 p. 339-345

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抄録

Alloxan糖尿病やI型糖尿病の発症機構に活性酸素の関与が指摘され, 特にsuperoxidc radical (O2-) をscavengeする酵素であるsuperoxidc dismutasc (SOD) の糖尿病発症における重要性が示唆されるようになった. そこで, I型糖尿病のモデル動物であり, 膵ラ島炎 (insulitis) や膵ラ島に対する自己抗体の存在するNODマウスの赤血球内SOD活性と, islet cell surface antibody (ICSA) 力価を経時的に測定し, SODのI型糖尿病発症における病因論的意義について検討を加えた.
今回, 赤血球内SOD活性の測定に用いたNitritc法は, 従来のcytochrome法に比して約10倍の感度を有し, その回収率, 再現性とも良好であった. この方法にて測定したNODマウスのSOD活性は対照のICRマウスに比して, 常に高値を示し, 6週齢において最も高い活性, 8,328±760U/mgproteinを, 8週齢において最低の活性, 6,579±670U/mg protenをおのおの示した. ICSA力価の測定は, ハムスターインスリノーマ細胞 (In-111 cell) を抗原に用いたProtein A radioligand assayにて行った. その結果, 7週齢と11週齢に高値を示し, その後, 加齢に伴い減少した. NODマウスにおける赤血球内SOD活性とICSAの動きを比較してみると, 6~9週齢でSOD活性が急激な変動を示したのに遅れて, 11週齢にICSA力価が高値を示した.
以上より, NODマウスにおいては膵ラ島炎が出現する時期に赤血球内SOD活性が急激に減少し, 次いでICSAが高値を示した. SOD活性の変動は, superoxide radicalの動きを反映していることより, I型糖尿病の発症に活性酸素のひとつであるsuperoxidc radicalがなんらかの影響を及ぼしている可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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