糖尿病
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ビタミンD欠食下でのビタミンD3代謝に及ぼすインスリン, Su剤の影響
工藤 幹彦貴田岡 正史武部 和夫
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1986 年 29 巻 6 号 p. 483-489

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抄録

ウイスター系雄ラットを以下の5群に分けた. 正常群 (C), STZ糖尿病群 (D): STZ 40mg/kg静注, インスリン群 (I): 糖尿病ラットにレンテインスリン4単位/日注射, Glibenclamide群 (G): glibenclamide (0.5mg/kg) を0.5%CMセルロースに懸濁させ経口投与, CMセルロース群 (CMC): 0.5%CMセルロース溶液投与. 1) ビタミンD欠正常Ca食を与え59日目に [3H] 250HD3 1.5μ Ci静注し, 3日後採血した.血漿よりビタミンD3を抽出し, Sephadex LH-20カラムで分画した. 2) ビタミンD欠乏食81日目に腎を摘出し遊離細胞を得た. 2×107個/McCoy 5a培養液5mnlに [3H] 25OHD3 0.2μCiを加え37℃15分間振盪した. 1) in vivo実験の結果: 1, 25-(OH) 2D3分画はD, I, C群の順に高値となりDとC群間に有意差があった. 24, 25-(OH) 2D3分画はD群で最も高値を示した. 3) in vitro実験の結果: 1, 25-(OH) 2D3分画はD, I, C群の順に高値となり3群間にそれぞれ有意差があった. G群はCMC群に比較し有意に高値であった. 24, 25-(OH) 2D3分画はI, C, D群の順縞値となり, DとI群間に有意差があった. 以上より, 糖尿病ラットの1, 25-(OH) 2D3の生成は抑制されており, インスリン注射したところ, 1, 25-(OH) 2D3の生成は回復し, 24, 25-(OH) 2D3の生成は抑制された.さらにglibenclamideは1, 25-(OH) 2D3の生成を亢進させ, ビタミンD3代謝に影響していることが判明した.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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