今回われわれは糖尿病患者の神経障害の検討の一環として, 味覚異常について罹病期間, 血糖コントロール, 細小血管症, 振動覚および安静時心電図のR-R間隔変動との関係について検討し, 下記のような結果を得た.
1.罹病期問, 血糖コントロール, および細小血管症に有意差のない症例で, 女性の方が男性より有意に甘味, 苦味に対し敏感であった.
2.男性で喫煙者は非喫煙者に対し, 酸味で有意に劣っていた.
3.一部の味覚で振動覚, R-R間隔変動の異常が, また罹病期間, 細小血管症の有無に有意の関係がみられたが, HbA1には無関係であった.
4.2週間後に再検査した症例では, 空腹時血糖の改善したものに有意の味覚改善がみられた.