糖尿病
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長期経過観察による糖尿病患者 (NIDDM) の自然史に関する研究 (2)
死因とその関連因子について
佐々木 陽堀内 成人長谷川 恭一上原 ます子
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1987 年 30 巻 11 号 p. 1003-1011

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抄録

昭和35~54年の間に当センターを受診したインスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) 患者1,939名 (男1,200名, 女739名) を昭和59年末まで平均9.4年間追跡し, 死亡例503例について死因を検討した.1) 死因は脳心腎血管疾患が約半数を占め, うち心疾患19.5%, 脳血管疾患16.7%, 腎疾患13.1%で, また悪性新生物は26.6%であった. O/E比は腎疾患が13.81で最も高く, 心疾患は3.08であった.2) 死因分布は発症年齢と関係が深く, 腎疾患は若年発症患者に高率であった. 虚血性心疾患, 脳血管疾患および悪性新生物は逆に発症年齢の高いものに多くなる傾向を示した.3) この25年間の死因の経年的な変化をみると, 虚血性心疾患が昭和35~49年の8.9%から昭和55~59年の15.3%まで顕著な増加を示した.4) 虚血性心疾患, 脳血管疾患, 腎疾患の各死亡群について初診時所見との関係をみると, 腎疾患群は若年発症で, コントロール不良のものが多く, 平均死亡年齢も若いことが見出だされた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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