糖尿病
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肝硬変のインスリン抵抗性について
Euglycemic Clamp法による検討
宮本 市郎能登 裕森丘 里香番度 行弘西村 泰行真田 陽宮腰 久嗣服部 信
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1987 年 30 巻 7 号 p. 605-611

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抄録

肝硬変における耐糖能異常の成因を明らかにする目的で, 肝硬変患者6名および健常対照者7名にeuglycemic clamp studyを行い, インスリン感受性について比較検討した.インスリン感受性の指標として, ブドウ糖利用率 (M), ブドウ糖のmetabolic clearance rate (MCRG), インスリン感受性指数 (M/I×100) を用いた.健常対照者に比し, 肝硬変患者のM (5.77±0.72vs.0.57±125mg/kg/min, p<0.01), MCRG (6.56±0.84vs.13.05±1.42ml/kg/min, p<0.005), M/1×100 (1.76±0.43vs.3.95±0.47, p<0.01) はいずれも有意に低値であった.また, 肝硬変患者におけるブドウ糖利用率 (M) と759経ロブドウ糖負荷試験のざBG (r=-0.85, p<0.05) および空腹時1血清インスリン値 (r=-0.91, p<0.05) との間には, 強い負の相関関係が認められた.インスリランのmetabolic clearance rateは健常対照者で15.5±1.7ml/kg/min, 肝硬変患者では12.5±2.2ml/kg/minであり, 両群間に有意差を認めなかった.以上より, 肝硬変患者ではインスリン感受性が低下していることがeuglycemic clamp法により確認され, 耐糖能異常の成因の1つとして重要な役割を演じていると考えられた.また, このインスリン感受性低下は, 肝硬変にしばしば認められる高インスリン血症と関連している可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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