糖尿病
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グルカゴン負荷時の血漿Cペプチド低反応者について
グルカゴンおよびアルギニン負荷時の血漿Cペプチド反応よりみた糖尿病の多様性
三家 登喜夫曽和 亮一英 肇森田 一田畑 宏道久保 一紀近藤 渓南條 輝志男宮村 敬
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1987 年 30 巻 9 号 p. 795-802

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抄録

グルカゴン (G) による血漿Cペプチド (CPR) 低反応者におけるインスリン分泌能の特徴を, 糖尿病 (DM) の病型分類との関連性において検討した. Glmg静注後のCPR反応における5分値と前値との差 (△G) が0.5ng/ml以下である10wresponder50名, △Gが0.6ng/ml以上のII型DM患者128名 (II群), および健常者9名 (N群) を対象とした. 対象者にアルギニン (A) 49を静注し, 血漿CPR反応における5分値と前値との差 (△A) を求め, △G/△Aを算出した. II群ではN群に比し, △G, △Aはともに低値であったが, △G/△Aでは差を認めなかった. Low responder中, I型DMで罹病期間が2年以上の者や, II型DMのインスリン治療患者では, △G, △Aが低値である者が多く, △G, △Aの平均値の算出は不可能であった. 一方low responder中でも, 1型DM発症初期の者 (Ib群) やII型DMの非インスリン治療患者 (IIb群) では, △AはII群と同程度にまで保たれており, それらの△G/△AはII群やN群に比し有意な低値であった. IIb群では1型DMと類似のHLAを高率に有しており, うち2名は後日インスリン依存性DMへと移行した.
以上より, 1型DM初期ではGによるCPRの低反応が特徴的であるが, Aによる反応は比較的保たれていた. このような性質を有する者は小数例ながらもII型DMと考えられている群の中にも存在しており (IIb群), これらの者は現時点ではNIDDMであるが, 1型DMと類似の病態である可能性が示唆された.

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