糖尿病
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糖尿病妊婦における母体血清α-フェトプロテイン濃度について
帯刀 圭子大森 安恵嶺井 里美清水 明実東 桂子秋久 理眞佐中 眞由実平田 幸正
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1988 年 31 巻 1 号 p. 27-33

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抄録

正常妊娠における母体血清α-フェトプロテイン (Maternal Serum α-fetoprotein: 以下MSAFPと略す) は神経管奇形の出生前診断に用いられている.糖尿病妊婦においてMSAFPの動態と胎児異常との関連について検討した.糖尿病57単胎妊娠例を対象とし, 正常単胎妊娠136例を対照とした.糖尿病妊婦は分娩時年齢28.8±4.2歳, 罹病期間7.0±4.6年, IDDM24例, NIDDM33例, 自然流産2例, 子宮内胎児死亡1例, 早期産9例, 正期産45例であった.
糖尿病妊婦におけるMSAFPは正常妊婦と同様, 妊娠12~15週より上昇し (12~15週の平均18.9±10.1ng/ml) 妊娠32~35週に最高値 (272.8±78.3ng/ml) となる.MSAFPの値は12週未満, 20週以降では正常と差がないが, 12~19週では有意に低値であった.胎児異常および妊娠中の平均血糖とMSAFPとは無関係であった.神経管奇形例はなかったのでMSAFPの値と神経管奇形例との関係を示すことはできなかった.

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