糖尿病
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インスリン非依存型糖尿病における膵島細胞膜抗体 (ICSA) の臨床的意義: 膵島B細胞機能そしてHLA抗原との関連
鈴木 将夫河津 捷二根岸 清彦渡辺 敏郎外間 朝哲高橋 修樹松田 ひとみ春藤 俊一郎森谷 茂樹井上 郁夫竹井 真一郎石井 淳
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1988 年 31 巻 10 号 p. 801-808

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抄録

膵島細胞膜抗体 (ICSA) はインスリン依存型糖尿病 (IDDM) の21.3%(16/75), インスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) の14.8%(21/142) に検出された.このICSA陽性NIDDM (陽性群) における抗マイクロゾーム抗体陽性率はICSA陰性NIDDM (陰性群) と差がなかった.また両者において, 性, 発症年齢, BMI (body mass index) に差はなかった.陽性群では21名中9名が1-3年後にインスリン治療を必要としたが, 陰性群では3年間皆無であった.陽性群の新鮮尿中C-ペプチド/クレアチニン (U-CPR/U-Cr) は44.0±5.5μg/g (n=20) であり, 陰性群の64.1±4.3μg/g (n=48) よりも有意に低値であった (p<0.05).また, 陰性群では3年間変化を認めなかったが, 陽性群のU-CPR/U-Crは平均2.4年後には42.5±6.4μg/gから28.9±3.6μg/g (n=17) へと有意に低下した (p<0.05).陽性群ではHLAのB-7とDRw9が健常人に比して高率に見られた (p<0.01).
以上, NIDDMの一部において, ICSA, HLAと関連して膵島B細胞機能が徐々に低下する症例があり, 何らかの免疫機序の介在を示唆するとともにNIDDMのheterogeneityの存在をうかがわせた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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