糖尿病
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実験的糖尿病ラットの後索機能障害に関する電気生理学的研究
2.5ヘキサネダイオンニューロパチーとの比較検討
寺田 雅彦
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1988 年 31 巻 3 号 p. 223-230

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抄録

糖尿病性神経障害の発症機序を解明するため, ストレプトゾトシン (STZ) 糖尿病ラットの薄束および薄束核の機能変化を電気生理学的に検討し末梢神経機能障害と比較した. またdying-back型ニューロパチーの1つである2.5-ヘキサネダイオン (2, 5-HD) 中毒ラットの薄束系でも同様の検討を行った. STZ投与後4週で末梢神経の運動および感覚線維最大伝導速度 (MCV, SCV) は対照群と比較して低下したが, 薄束路最大伝導速度 (GTCV) の低下はSTZ投与後12週で初めて認められ, しかもMCV, SCVの低下に比して軽微であった. また薄束核表面誘発電位および薄束の逆行性複合活動電位波形の変化は糖尿病ラットでは認められなかった. 一方8週2, 5-HDラットでは, GTCVの低下とともに薄束核表面誘発電位N, P波の振幅の減少とN波の潜時および持続時間の延長ならびに逆行性複合活動電位の潜時と持続時間の延長を認めた. 以上から糖尿病ラットにおいて薄束線維は末梢神経線維に比べ傷害されにくいこと, および薄束障害が2, 5-HDニューロパチーと異なる機序によって起こることが推察された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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