糖尿病
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糖尿病の運動療法に関する研究 (第13報)
副腎髄質摘出ラットにおけるインスリン感受性の変動
岡田 節朗佐藤 祐造山本 親押田 芳治井口 昭久坂本 信夫
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1988 年 31 巻 9 号 p. 733-737

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抄録

長期運動トレーニングによるインスリン感受性の改善に, エピネフリンがどのように関与するかを動物実験的に検討を加えた.
両側副腎髄質摘出ラットを, 運動群 (ADMX-T群) と非運動群 (ADMX群) に分け, また凝似手術後運動群 (SHAM-T群) と対照群 (CT群) に分け, それぞれにeuglycemic insulin clamp法を実施した.尚, インスリン注入濃度は, 4.4, 8.8, 29.2mU/kg/minの3種類である.
1.インスリン注入濃度の増大に伴い, それぞれのグルコース代謝量が増大するという容量依存曲線を示した.2.ヒトにおけるDeFronzoらの“physiological hyperinsulinemia”にほぼ相当する血中濃度となる注入量 (8.8mU/kg/min) で4群間のグルコース代謝量を比較した.CT群に比し, ADMX群は42%(p<0.02), SHAM-T群は37%(p<0.05) の有意な増大を認め, ADMX-T群ではCT群に比し92%(p<0.001) の有意な増大を示した.
以上の事実は運動トレーニングにおけるインスリン感受性改善に, エピネフリンが負の要因になりうる可能性を示唆している.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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