糖尿病
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難治性糖尿病壊疽に対するProstaglandin E1 Insulin, Heparin持続動注療法の治療経験
高桜 英輔大沢 謙三寺田 康人牧野 博辻 博岩瀬 信生高沢 和也
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1988 年 31 巻 9 号 p. 745-751

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抄録

糖尿病性壊疽は直接生命を脅かすものではないが再発する傾向があり, 糖尿病患者が日常生活をする上で厄介な合併症である.保存的治療に抵抗性を示す難治性の糖尿病性壊疽を有する16例, うち閉塞性動脈硬化症 (ASO) を合併するもの3例, ASOを合併しないもの13例に対し, Prostaglandin E1, Insulin, Heparin混合液を患側の浅大腿動脈より持続動注した (PIH療法).PIH療法開始前と治療中に99mTc-MAAを用いた下肢血流スキャンと足背の深部皮膚温の測定を行った.ASO (-) 群13例は全例で壊疽が完治し, PIH治療期間は21~120日平均58.6日であった.一方, ASO (+) 群3例のうち壊疽が完治したのは1例のみで, 他の2例はPIH療法は無効で足趾を切断した.完治した14例では全例に深部皮膚温の上昇, 検査を施行しえた11例全例に壊疽部に一致したRI集積を認めたが無効の2例では認められず, これらの検査はPIH療法の有効性を予測する指標として有用であると思われた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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