1989 年 32 巻 11 号 p. 819-824
NIDDMにおけるTRHおよびLHRH投与時の奇異性成長ホルモン (GH) 分泌動態を検討した.対象はNIDDM74例で, TRH施行例71例, LHRH施行例58例, 両試験施行例55例である.正常対照群は計44例である.基礎値と頂値の差 (ΔGH) が3ng/ml以上のGH反応を奇異性GH反応とした.奇異性GH反応は正常群中1例もなし。糖尿病者では, TRH試験ΔGH3.4±4.4ng/ml, LHRH試験ΔGH4.1±4.8ng/mlと, 正常対照群に比べ有意に (P<0.01) 高値であった.奇異性GH反応は, TRH試験時71例中27例38%, LHRH試験時58例中24例41%に認めた.各試験問のΔGHには, 正相関 (r=0.75, n=55, P<0.001) が示された.各試験のΔGHと空腹時血糖, HbA1cとの間にも有意の正相関を認めた.以上の結果, TRHないしLHRH投与時のGH分泌は, 相互に共通した機序による可能性, また血糖コントロール状態に依存している可能性が示唆された.