糖尿病
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膵B細胞内の酸性化 (pH変化) とインスリン分泌
桜田 正也金塚 東橋本 尚武山口 卓秀牧野 英一吉田 尚
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1989 年 32 巻 12 号 p. 879-885

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抄録

45Ca++でラベルしたラット膵ランゲルハンス島 (以下膵島と略す) のperifusion法を用いてインスリン分泌機序におけるH+, K+, Ca++イオンの関与について検討した. 膜透過性の弱酸であるbutyricacidは膵島からの45Ca++effluxとインスリン分泌を促進した. 灌流液中のK+濃度を5.5から20mMへ変えた時, あるいはK+channelblockerである9-aminoacridine (以下9-AAと略す) の投与により膵島からの45Ca++effluxとインスリン分泌が亢進した. Electroneutralionophoreであるmonensinはbutyricacidによる45Ca++efnuxとインスリン分泌を抑制したが, K+刺激による45Ca++effluxとインスリン分泌に影響しなかった. 同薬剤は9-AAによる45Ca++effluxに影響を及ぼさなかったが, インスリン分泌を軽度に抑制した. 今回の検討により細胞内pHの低下がインスリン分泌過程のK+の透過性の減少及びCa++fluxの変化の前段階に関与し, インスリン分泌を修飾している可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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