糖尿病
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1型糖尿病患者におけるインスリン自己抗体 (Insulin Autoantibodies) とβ細胞機能に関するFollow-up Study
中西 幸二小林 哲郎杉本 忠夫村勢 敏郎小坂 樹徳伊藤 徳治
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1989 年 32 巻 6 号 p. 379-384

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抄録

インスリン自己抗体 (insulin autoantibodies: IAA) の臨床的意義を明らかにする目的で, インスリン非依存性の糖尿病患者をIAAと膵島細胞抗体 (islet cell antibodies: ICA) の有無によって4群に分け, そのβ細胞機能の経過を観察した. すなわち, group1 (GI) はIAAおよびICAがともに陽性 (n=7), group2 (G2) はIAAが陰性, ICAが陽性 (n=18), group3 (G3) はIAAが陽性, ICAが陰性 (n=3), group4 (G4) はIAAおよびICAがともに陰性 (n=30) である, 100g経ロブドウ糖負荷試験の際の血清C-ペプチド (CPR) の反応を平均38カ月にわたり観察した. CPR反応と血糖値はG1でそれぞれ有意に低下 (p<0.01) および上昇 (p<0.01) したが, 他のgroupでは有意な変化を示さなかった. G1の7例中4例, G2の18例中3例が徐々にCPR反応が低下し, インスリン依存状態に進行したが, G3とG4ではこの進展は認められなかった. IAAとICAの両者の存在がβ細胞機能低下の予知には最も有用な指標であると思われる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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