糖尿病
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Euglycemic Glucose Clamp法によるインスリン抵抗性の成因の検討 (第2報)
陳旧性心筋梗塞症における検討
小川 明男
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1990 年 33 巻 1 号 p. 5-11

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抄録

BWが+10%以下で正常血糖曲線を示す, 60歳以上の陳旧性心筋梗塞症 (MI) 患者14例および健常者16例 (N群) を対象に, 虚血性心疾患に伴う高インスリン血症の成因を検討した.759 OGTTのΣIRIは, MI患者のうち6例 (MI-H群) で200μU/ml以上の高インスリン反応を示した.glucose clamp時のinsulin clearance rate (MCR-I) は, MI-H群とN群およびΣIRIが200μU/ml以下のMI患者群 (MI-C群) 間に差はなく, MI-H群に伴う高インスリン反応は, インスリン分泌のk亢進によることが推測された.glucose disposal rate (GDR) は, MI-H群で他の2群と比べ, 最大反応量の低下を認めた.一方, 用量反応曲線の右方移動および赤血球インスリン受容体の障害はなく, インスリンと受容体との結合後の過程に障害のあることが示唆された.また, MI患者のGDRは, 体脂肪率と有意な負の相関関係を認めた.一方, MI-C群とN群間には, MCR-I, GDR, 赤血球インスリン受容体数および結合親和性に差はなかった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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