1990 年 33 巻 11 号 p. 883-887
膵ラ島アミロイド蛋白 [isletamyloidpolypeptide (IAPP)/Amylin] の肝への直接作用を知る目的で, ラット肝灌流を行い, 肝よりのグルコース放出とcAMP放出を観察することにより, 合成したratIAPP-amide (IAPP-NH2) の単独効果およびグルカゴンやインスリン作用に対する影響を検討した. その結果, 1) IAPP-NH21×10-8Mはグルカゴン6×10-11Mと同程度に流出液中のcAMPを増加させたが, 肝よりのグルコース放出作用は認めなかった. 2) IAPP-NH2はグルカゴンの肝よりのグルコース放出作用やインスリンのグルコース放出抑制作用に対して影響を及ぼさなかった. 3) cAMP産生におけるIAPP-NH2の効果は, グルカゴンの効果に付加的であった.
以上, IAPP-NH2によるcAMP産生は肝グリコーゲン分解を調節せず, IAPP-NH2はグルカゴンと違った方法で肝に作用した可能性が示唆された.