糖尿病
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帯状の腹壁膨隆を呈したdiabetic truncal mononeuropathyの1例
平野 佳弘水村 泰治中尾 義広
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1990 年 33 巻 11 号 p. 917-921

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抄録

症例は47歳男性で, 20年前より肥満と高血圧あるも放置.1988年3月多飲・多尿あり, 11月左背部痛, 12月左側胸部~左上腹部に疼痛が出現し1989年1月当科に紹介された, 身長162cm, 体重80kg, 下肢の深部反射と振動覚は軽度低下.消化管検査, 胸・腹部CT, 冠動脈造影やミエログラム等に特記する所見なし.NIDDM (HbA1c8.7%) で眼底Scott IIIb, 尿蛋白弱陽性, 末梢・自律神経障害を軽度認めた.食事療法のみで血糖は改善してきたが, 夜間に増悪する疼痛は存続し, 発病7カ月より疼痛に一致した左第8胸神経前枝支配域の腹壁が帯状に膨隆し, 発病13カ月に至りこれらは自然に回復した.当該部位の筋電図と筋生検で神経原性変化あり, 髄液蛋白の明らかな増加も認められた.本症例は, 知覚のみならず腹壁膨隆という運動神経障害をも合併したdiabetic truncal mononeuropathy (DTM) であり, この型のDTMとしては本邦での最初の報告と思われる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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