糖尿病
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インスリンの動脈硬化促進作用
血清脂質, アポ蛋白代謝の面から
江草 玄士小川 潤一郎片岡 伸久朗角 誠二郎山根 公則森 浩岡村 緑石田 さくらこ小田 清原 均山木戸 道郎
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1990 年 33 巻 12 号 p. 929-934

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抄録

高インスリン (Ins) 血症, 動脈硬化性心疾患が日本人に比し高率に認められる在米日系人において, 非肥満正常耐糖能者を対象に1織Sと血清脂質, アポ蛋白代謝との関連を検討した.男女とも血清Ins値 (空腹時および7590GTT時総和値) とトリグリセライド値は有意な正相関を示したが, 血清コレステロール (C) 値との正相関は女性で空腹時Ins値との間にのみ認められた.LDL-C/HDL-C比は男性において空腹時Ins値と有意な正相関を示した.アポ蛋白Bおよびアポ蛋白AI/アポ蛋白B比は男女とも空腹時Ins値とそれぞれ有意な正および負の相関を示した.以上のごとく, 在米日系人では血清Ins値の上昇とともに脂質, アポ蛋白代謝はatherogenicに変化する事が示され, 非肥満正常耐糖能者においてもInsの動脈硬化促進作用の一端はリボ蛋白代謝異常を介したものである可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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