糖尿病
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視床下部離断ラットにおけるインスリンの肥満形成作用について
インスリンの摂食行動に対する検討
小内 亨大島 喜八岡田 秀一馬原 充彦森 昌朋下村 洋之助諏訪 邦彦小林 功小林 節雄
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1990 年 33 巻 2 号 p. 101-107

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抄録

視床ト部性肥満の一つのモデノレである視床下部離断肥満ラットにおける, インスリンの摂食調節機構への作用を検討した. ストレプトゾトシン投与糖尿病ラットに, 視床下部離断術および偽手術を施行し, 術後連日体重, 摂食量を測定した. 引き続きインスリンを投与し, 同様の観察を続けた. 視床下部離断群はインスリン欠乏状態にても術直後は有意な体噴増加を示したが, その後体重は漸減し偽手術群と同程度になった, インスリンの投与により体重は増加し, 偽手術群に比し有意の差を生じた. 摂食量は, 偽手術群ではインスリン投与により低下したが, 視床下部離断群では逆にインスリンに対し用量反応性に増加した. この事実より, 視床下部性離断肥満ラットではインスリンを介した摂食調節機構に障害があり, このことが本ラットにおける過食の一因となっていることが示唆され, 肥満の形成にはこれに加えて高インスリン血症の存在が重要であると考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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