1990 年 33 巻 6 号 p. 473-478
計画妊娠および血糖正常化への努力により, 糖尿病性合併症の増悪なく3人の健常児を出産し得た7歳発症IDDMの1例を報告する. 症例は31歳主婦. 日本国籍アメリカ人 (白人), 7歳で糖尿病と診断され, NPHインスリン20単位開始. 19歳で来日. 20歳で日本人と結婚. 24歳, 妊娠を希望し当科初診血糖コントロール不良のためインスリン混合注射を朝夕2回とす. 血糖コントロールは良好となり, 糖尿病性合併症も問題なく, 妊娠を許可され受胎. 26歳, 妊娠38週, 21409の男児を誘発分娩児は低体重の他異常なし. 27歳妊娠38週で32249の男児を誘発分娩, さらに31歳, 妊娠37週, 33059の男児を自然分娩. 第2, 3子とも新生児低血糖, 高ビリルビン血症以外異常なし. 母体は糖尿病性網膜症Scott Iaの他合併症を認めず本例は我が国で報告された糖尿病妊婦分娩例中発症年齢が最年少の7歳で, 計画妊娠により3児を得た貴重な小児糖尿病症例である.