糖尿病
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糖尿病性胃症に及ぼす糖尿病性神経障害と血糖コントロールの影響
鈴木 吉彦松岡 健平
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1990 年 33 巻 8 号 p. 635-640

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抄録

インスリン非依存型糖尿病患者83名に胃排出能 (以下GEAと略す) と, 各種神経障害指標とを検査した. その結果, 神経障害の軽症例ではGEAは亢進し, 進行例ではGEAが低下する傾向を認めた. 次に血糖コントロール (以下GCと略す) によるGEA変化を観察するため, 糖尿病患者17例 (C群) に1週間のGCによる変化を検査し, GC前はGEAが亢進41%, 正常29%, 低下29%だったが, GC後は亢進58%, 正常18%, 低下24%となりGEA亢進例が増加する傾向を認めた. 糖尿病患者38例 (T群) にGCによる変化に加え, トリメブチン300mg/日を投与したところ, GC前はGEAが亢進42%, 正常27%, 低下30%であったが, GC後では亢進21%, 正常55%, 低下24%となり, C群に比べ亢進傾向は減少し, 正常の比率が増えていた. この際食後ガストリン分泌反応は, C群では増加, T群では減少方向に変化しGEAに対する関与が示唆された. 以上より糖尿病性胃排出能の評価には, 神経障害, GC, ガストリンなどの影響があることが示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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