糖尿病
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プロブコールのアロキサン糖尿病の発症抑制作用について
アロキサンのdose response study
芳野 原松下 正幸岩井 正秀松葉 光史森田 宗孝吉田 宗儀鹿住 敏谷 武司堀貫 理恵木村 征夫馬場 茂明
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1990 年 33 巻 8 号 p. 659-663

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抄録

アロキサンの糖尿病発症作用についてはフリーラジカルの膵での集積が深く関与していると考えられている.一方プロブコールはその過酸化反応阻止作用が注目されている.今回, 我々はWistar系雄ラットに2週間プロブコールを与え (1%indiet), 20から50mg/kgのアロキサンを静注し, その糖尿病の発症を観察した.アロキサンの20, 30, 40mg/kg投与24時間目ではプロブコール前投与 (PA) 群と非投与 (A) 群の間で血糖値の有意差を認めなかったが, 50mg/kg投与においてPA群は有意に低値を示した.また, その血糖値の低下は2カ月後においても有意であった.一方血中インスリンレベルは50mg/kg投与では両群とも極めて低値を示した.血中逸脱酵素のうち, GOTとLDHはこの投与量でいずれもPA群がA群に比し有意に低値を示した.GPT, 血中尿素窒素 (BUN), クレアチニンおよび尿酸値には差を認めなかった.血中トリグリセライドはアロキサンの各投与量でPA, A両群間に差はなく, コレステロールはいずれの投与量でもPA群が低値を示した.以上, プロブコールの前投与はラットにおいてアロキサンの膵β細胞障害のみならず多臓器障害も防護し得る可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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