糖尿病
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一般住民における耐糖能異常者の予後 (第1報)
久山町研究の2集団における生存率の比較
大村 隆夫上田 一雄蓮尾 裕清原 裕輪田 順一河野 英雄加藤 功新川 淳岩本 廣満中山 敬三仲村 吉弘藤島 正敏
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1990 年 33 巻 9 号 p. 727-735

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抄録

耐糖能異常の危険因子としての重要性が最近増加したか否かを知る目的で, 久山町満40歳以上の男女一般住民を対象とし, 1961年に設定した第1集団1621名, 1974年に設定した第2集団2053名をそれぞれ満11年間追跡し, 耐糖能異常と総死亡の関係を比較検討した-第1集団では尿糖陽性者に耐糖能検査を行ない, 第2集団では検診時血糖値と病歴より耐糖能異常群 (D群) を設定した. 両集団ともD群以外を非耐糖能異常群 (N群) とした.1) 断面調査成績では耐糖能異常群は非耐糖能異常群に比し, 高齢であり, 高血圧, 蛋白尿飲酒習慣, 喫煙習慣が高頻度であった.2) 第1集団ではN群1491名中322例, D群130名中46例が死亡し, 第2集団ではN群1836名中292例, D群217名中68例が死亡した. 高血圧や他の心血管系疾患の危険因子を補正すると, 第2集団でのみ耐糖能異常の有無が生命予後に有意に関与した.3) 時代と共に耐糖能異常が生命予後に及ぼす影響が増す傾向にあると推定された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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