糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
methicillin resistant staphylococcus aureusによるS状結腸周囲膿瘍を形成した糖尿病の1例
永井 隆富沢 貴吉江 康正小林 節雄
著者情報
キーワード: S状結腸周囲膿瘍, 糖尿病
ジャーナル フリー

1990 年 33 巻 9 号 p. 757-762

詳細
抄録

methicillin resistant staphylococcus aureus (以下MRSAと略す) によるS状結腸周囲膿瘍を形成した糖尿病の一例を経験し報告する. 症例は44歳, 男性. 糖尿病, 高脂血症, 高血圧症で当院通院していた. 糖尿病の合併症は出現していなかったが食事療法の理解は不良であり, 体重増加, 高血糖のため入退院を繰り返していた.平成元年2月以後, 発熱, 下腹部痛, 下痢食欲不振のため入院となった.腹部腫瘤を触知し, 筋性防御を認めた. 入院時, 白血球数15,900/mm3, CRP6+, 空腹時血糖161mg/dl, HbA1 7.5%であった. 汎発性腹膜炎と診断し, 入院後直ちに開腹手術を施行した. S状結腸が小児頭大の腫瘤を形成しており, 腫瘍を認め, 培養によりMRSAが検出された.大腸造影検査ではS状結腸憩室を認めた. 本例は, 糖尿病のコントロールに際しては血糖のみならず, 体重も含めた全身的管理が重要であることが再確認される症例と思われ報告した.

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top