糖尿病
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Cogan症候群を伴ったIDDMの1症例
石崎 恒美中野 亮一鴨井 久司鈴木 満喜子武田 啓治井口 正男鈴木 正博
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1991 年 34 巻 1 号 p. 43-49

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抄録

症例は34歳男性.生来より知能低下があり, 27歳時からIDDMでインスリン治療を受けていた.34歳時の8月から右聴力低下, 12月には頑固な頭痛が出現し, 左外斜視, 律動性眼球運動, 四肢筋の萎縮, 腱反射の消失が存在した.難聴は両側の蝸牛神経障害を伴う感音性障害で, その後回転性眩量, 失調性歩行, 左動眼神経麻痺による眼瞼下垂が出現し, 髄液の細胞数, 総蛋白の増加のため副腎皮質ホルモンを使用した.しかし奏効せず, 中止したところ強膜炎, 虹彩毛様体炎, 左難聴も出現したため再投与したが, 両眼の葡萄膜炎と角膜炎を併発し, 右眼は網膜剥離のため失明した.この間, 血糖調節は不良であった.検査所見では梅毒反応陰性で高血糖と赤沈, CRF, IgG, IgA, CH50の軽度増加を認めたがICSA, ICAは陰性でHLA-DRはDR2, DRW11であった.以上より, 本症はIDDMに定型的Cogan症候群を合併した極めてまれな1例と思われる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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