糖尿病
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糖尿病患者における好中球貧食能について
Micrococcus lysodeikticusを用いた好中球食食能検査法による検討
葛山 あゆ子千丸 博司森 久也加嶋 敬永田 隆己高橋 伯夫吉村 学
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1991 年 34 巻 10 号 p. 901-906

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抄録

糖尿病患者における好中球貪食能をMicrococcus lysodeikticus (M.lys) を用いた好中球貪食能検査法にて検討した.糖尿病患者106例中, 貪食能正常例は59例 (55.7%), 低下例は47例 (44.3%) であった.貪食能正常群, 低下群における年令には差を認めなかった.罹病期間は正常群11.8±1.0年に対し低下群では14.8±1.1年と有意に長かった (P<0.05).FPGおよびHbA1は両群間に差はなかった.血中ケトン体はβ-ヒドロキシ酪酸が正常群46.4±7.3μmol/lに対し低下群では81.0±14.8μmol/lと高値を示した (p<0.05).また, 低下群ではインスリン治療者が多く, 網膜症合併率も高かった.低下例のうちの8例について, 患者洗浄血球に健常者血漿を加えて貪食能を測定した結果, 全例が正常化した.糖尿病患者における貪食能低下の原因は好中球そのものよりもむしろ血漿因子の関与が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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