1991 年 34 巻 2 号 p. 113-124
これまでにインスリン受容体のcleavage site 4番目のアミノ酸が点突然変異のためにArgからSerに変換され, そのためにインスリン結合の低下した異常インスリンプロレセプターが発現機能し, インスリン抵抗性を招来したと思われる症例を経験した.今回, この症例の染色体DNAよりPCR法によりcleavagesiteを含む断片を増幅し, direct sequence法により解析し, この異常が患者染色体DNA上にhomo接合体の状態で存在することを示した.さらに, インスリン受容体の正常cDNA, および症例と同様の点突然変異を持った異常cDNAを作成し, これらをCOS7細胞にtransfectionを行った.その解析より発現レセプターが患者細胞のものと同様の特性を持つことを示し, この点突然変異が異常プロレセプターの原因であることを証明した.