1991 年 34 巻 2 号 p. 97-103
HMG-CoA還元酵素阻害剤 (pravastatin) の糖尿病性腎症に対する効果を動物実験モデルを用いて検討した.雄性ウイスターラットをstreptozotocin 40mg/kgにて糖尿病とし, DM群 (N=6): 未治療糖尿病ラット, P-DM群 (N=6): pravastatin 250mg/l飲水投与糖尿病ラット, NC群 (N=8): 正常雄性ウイスターラットの3群に分け, 血清脂質, 血糖値および尿中NAG, アルブミン排泄量, 腎ソルビトール含量および透過電顕標本を作成し糸球体基底膜厚の測定を行った.pravastatinにてSTZ糖尿病ラットの脂質代謝異常は改善されなかったが, 尿中NAG (DM群: 0.8±0.1vs P-DM群: 0.4±0.2U/day, P<0.01), 尿中アルブミン排泄 (DMl群: 5.1±1.3vsP-DM群: 2.5±0.9mg/day, p<0.01) および, 腎糸球体基底膜の肥厚 (DM群: 205±18.0vs P-DM群: 150±6.0nm, p<0.01) は有意に抑制された.Pravastatinは腎症進展予防効果を有することが示された.