糖尿病
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高グルコース条件培養下血管内皮細胞における過酸化水素分解能の低下と細胞障害
朝比奈 崇介柏木 厚典池淵 元祥紀田 康雄小川 勉田中 逸吉川 隆一幸 男
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1991 年 34 巻 7 号 p. 593-598

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抄録

培養血管内皮細胞における過酸化水素分解活性と過酸化水素に対する障害性に及ぼす高グルコース効果をペルオキシダーゼ依存性 (アジ化ソーダ非抑制性) 過酸化水素分解活性と51Cr放出率を指標に検討した.ヒト臍帯静脈血管内皮細胞を高グルコース条件下で培養するとペルオキシダーゼ依存性過酸化水素分解活性は5.5mMグルコース条件下培養に比べ16.5mM, 33mMグルコースで各々対照の88%(P<0.01), 64%(P<0.001) に低下した.この高グルコース効果は同浸透圧のラフィノースまたはL-グルコースなどの非代謝性糖存在下では認められず, またアルドース還元酵素阻害剤 (SNK8601μM) 添加により正常化した.一方, カタラーゼ依存性過酸化水素分解活性は高グルコース条件下培養でも変化を認めなかった.4日間の33mMグルコース条件下培養により血管内皮細胞数は対照に比べ11%(P<0.05) 減少し, また51Cr放出率は20μM過酸化水素添加により5.5mMグルコース条件下培養群の1.5倍 (P<0.01) に増加し, 活性型酸素による細胞障害性の増強が認められた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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