糖尿病
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Rhabdomyolysisにより急性腎不全とDICを合併した糖尿病性昏睡の1例
木下 芳一西山 勝人石戸 聡北嶋 直人伊東 俊夫稲留 哲也猪尾 力千葉 勉
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キーワード: 腎不全, 糖尿病
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1991 年 34 巻 9 号 p. 825-831

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抄録

糖尿病性ケトアシドーシスによる昏睡に, myoglobinuriaによる急性腎不全とDICを合併したまれな例を経験したので報告する. 症例は糖尿病歴のない64歳の女性. 急激に発症した意識混濁のために緊急外来に搬送された. 意識は昏睡状態で血糖1395mg/dl, 動脈血ガス分析では, pH7.01, HCO-37.7mEq/lと代謝性アシドーシスを呈し, 尿中, 血中にケトン体の増加を認め糖尿病性ケトアシドーシスによる昏睡と診断した. また尿は褐色で, 血中, 尿中に大量のミオグロビンを認め, CPK, アルドラーゼも著しく高値でrhabdomyolysisを合併していると考えられた. 患者は入院後, 急性腎不全と, DICを併発したが, 血液透析, ヘパリン等の投与にて治癒, 退院せしめえた. 退院後も患者は, IDDMの状態がつづき, インスリン治療をおこなっている.
糖尿病性ケトアシドーシスはmyoglobinuriaによる急性腎不全やDICをきたしやすく適切な早期診断治療が必要である.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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