1992 年 35 巻 1 号 p. 9-15
抗ヒトインスリン受容体抗体 (マウスモノクローナル抗体) を用いてflow cytometry (FCM) による末梢血単球のインスリン受容体測定を試みた. ヒト末梢血 (7ml) より単核球を分離し抗ヒトインスリン受容体抗体と4℃60分間反応させた後FITC標識ヒツジ抗マウスIgG抗体と4℃60分間反応させた. FCMで単球領域を設定し蛍光強度及び陽性細胞率を測定しインスリン受容体量を算定した. 本法によるインスリン受容体量は細胞をインスリンで前処置することにより減少した (down regulation). 125I-インスリン使用によるインスリン受容体測定とFCM法による測定とは正相関 (P<0.05) を示した. インスリン過分泌病態として知られるGraves病ではインスリン受容体量の減少を認め, また同受容体量と血中IRI濃度とは負相関 (P<0.05) を示した. 放射性物質を用いず少量の採血でインスリン受容体を測定できる本法は簡便性に優れており, 今後の臨床的応用が可能である.