糖尿病
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聴性脳幹反応潜時の遅延を認めSIADHを合併した糖尿病性神経障害の1症例
佐々木 秀行矢頃 綾松尾 博司二澤 美香大星 隆司坂本 健一南條 輝志男
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1992 年 35 巻 10 号 p. 837-842

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抄録

聴性脳幹反応 (ABR) 潜時の遅延を含む高度の糖尿病性神経障害 (DN) を有する糖尿病にADH不適合分泌症候群 (SIADH) を合併した1例を報告する. 症例は58歳の男性, 下肢脱力, 体重減少のため当科入院した. 入院時現症では痩せ (身長163cm, 体重41kg), 上下肢の筋力低下, 筋萎縮, 腱反射減弱を認めた. 検査成績ではHb A1c 18.4%と高値, 血液化学, 副腎, 甲状腺機能は正常, 頭部CT, MRIは異常なく, 単純性網膜症, 0.29/日の蛋白尿を認めた. 尺骨神経の運動神経伝導速度31m/s, 安静時心電図R-R間隔の変動係数は0.8%に低下していた. 入院後, 血糖値は改善したが, 低Na血症 (120mEq/l), 低浸透圧血症 (246mOsm/kg) が出現. 水負荷試験にて尿浸透圧>血清浸透圧が持続ADHは抑制されずSIADHと診断した. 血清Naの正常化後も水負荷試験での異常は持続した. 低Na血症時, ABRのV波潜時の延長がみられ脳幹部の伝導遅延が示唆された. DNの1症状としてSIADHが発症する可能性が考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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