糖尿病
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背部痛・高アミラーゼ血症で入院し血糖低値を示した後, 発症した IDDM の1例
田中 直彦丸山 太郎岩崎 至利田中 伸稗田 宏子松崎 正明鈴木 裕也
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1992 年 35 巻 2 号 p. 121-126

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抄録

症例は, 24歳男性, 1990年6月に発熱, 背部痛にて当院入院. 血清アミラーゼ568IU/l, 尿アミラーゼ555oIU/l, エラスターゼ148o0ng/dl, リパーゼ636IU/lと高値を示したため急性膵炎を疑い治療を開始. 入院第2病日, 血糖65mg/dl, 第3病日56mg/dlであったが第4病日より高血糖を示しIDDMとなった. 血清アミラーゼは, 約3週間後に, エラスターゼ1, リパーゼは, 約12週間後に正常値となった. HLAは, DR4/9であり, ICA (-), ICSA (-) であった. 本例は, 膵外分泌細胞と膵島細胞の双方の破壊に伴い, 高アミラーゼ血症とインスリン逸脱による血糖低値を経て発症したIDDMと考えた. IDDMの発症に際し, 高アミラーゼ血症はしばしぼ認められ, その発症機序と密接な関係をもつと思われる. 本例は, 入院中にその経過を捕えた貴重な症例であると考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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