糖尿病
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Streptozotocin 糖尿病ラットの embryogenesis における myo-inositol 添加の効果
赤澤 昭一明石 政治中村 ますみ赤澤 美保子前田 恭男竹馬 庸裕高尾 幸男奥野 信一郎瀧野 博文川崎 英二横田 厚長瀧 重信
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1992 年 35 巻 2 号 p. 99-103

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抄録

我々はratの embryo culture system を用い, 高血糖による奇形発生の機序として器官分化過程の embryo における myo-inositol (MI) 欠乏が重要な関与をしている事を報告した. 今回 streptozotocin (STZ) 糖尿病ラットの embryo における奇形発生機序にMI欠乏がどの程度関与しているかを検討した. STZ 55mg/kg投与し, 雌雄同一ケージで一晩飼育し, 妊娠糖尿病ラットを作製し, 主な器官形成期に相当する妊娠第6-11日に食飼中にMIを添加した (STZ-DM+MI群). 妊娠第11.7日に, embryoを取り出し形態学的観察後, HPLCにてembryo の MI 濃度を測定した. embryo の MI 濃度は対照群に比しSTZ-DM群で有意に低下したが, STZ-DM+MI群では対照群のレベルまで回復した. 神経管閉鎖不全等の奇形の発生頻度はSTZ-DMで17.6%と増加を示した. 一方STZ-DM+MI群では9.6%でSTZ-DM群に比し, 低下したが, 対照群に比しなお増加を示した. 妊娠糖尿病ラットのembryoのMI濃度は低下しておりMIの補充により奇形の発生頻度は部分的に改善された. 器官分化過程のMI欠乏が糖尿病における奇形発生の一つの因子となっている事を示した.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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