糖尿病
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血中および尿中C-ペプチド (CPR) 高値を示した1型糖原病の1例
坂井 義之井上 薫中島 直樹林 扶路子久富 昭孝関屋 健策安藤 文英大橋 昌夫梅田 文夫名和田 新
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1992 年 35 巻 6 号 p. 495-500

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抄録

症例は30歳女性. 1歳より肝腫大を指摘されていた. 肝精査のため1990年1月当科入院. 身長141cm, 体重41kg, 肋骨弓下5横指に及ぶ肝腫大を認め, 糖負荷時およびグルカゴン負荷時の血中尿酸値の変動より糖原病1型と診断した. 空腹時血糖66mg/dl, HbA1c4.0%.75g糖負荷試験は境界型を示し, 血中インスリン値 (IRI) は4.6μU/mlより19: 8μU/mlへ軽度上昇したのに対し, 血中C-ペプチド (CPR) 値は1.0ng/mlより8.4ng/mlへ著明に上昇し血中IRI値との解離を認めた. 尿中CPRも253μg/日より268μg/日と著明高値を示した. また, グルカゴン分泌においては, アルギニン負荷試験で正常反応を示したがインスリン低血糖刺激には無反応であり, グルコースに対する不応性が認められた. 本例は1型糖原病に甑中および尿中CPR高値が認められ, さらに低血糖時グルカゴン分泌不全が示唆された興味ある症例と考えられる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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