糖尿病妊婦において妊娠経過中の尿中アルブミン排泄量 (urinary ablumin excretion; UAE) を定量し, その動態を観察した. インスリン依存型糖尿病妊婦 (IDDM) 25名, インスリン非依存型糖尿病妊婦 (NIDDM) 35名を対象とした. 平均罹病期間はIDDM 8.8年, NIDDM 6.0年で, 全例妊娠前より糖尿病があり, 尿蛋白の陰性であった. 健常女子および正常妊婦のUAEの検討からその正常範囲は20mg/day未満とした. 糖尿病妊婦ではIDDM 25例中13例 (52%), NIDDM 29例中18例 (51%) でUAE増加を認めた. UAEが増加した症例のうち24例 (72%) はUAE増加後妊娠中毒症に進展した. IDDMではUAE増加例の平均罹病期間は10.8年でIDDMのUAE正常範囲例6.6年より有意に長かった. IDDM, NIDDMともにHbA110%以上の例はUAEが増加した.
UAEは妊娠中毒症に先駆けて増加するので中毒症の早期発見に有用であり, 糖尿病妊婦の治療管理の向上に役立つ事を認めた.