高血圧における糖代謝異常の頻度と病態に関する検討を行った. 対象は人間ドック受診者6250例で, 全例に75g OGTTを実施し, 同時に血糖, 血圧, 肥満度を測定した. 一部576例について血中IRIを測定した. 高血圧群における糖尿病の頻度は, 18.4%と正常血圧群7.4%に比し, 有意に高率であった. 年齢・肥満度を一致させた対象例において高血圧群の1時間血糖, 2時間血糖は正常血圧群に比し, 有意の高値を示した. 正常耐糖能群における空腹時IRIと収縮期血圧ならびに拡張期血圧との間に有意の正相関が認められた. 高血圧群の空腹時IRIは, 正常血圧群に比し, 有意の高値を示した. 以上より, 高血圧群では正常血圧群に比し, 耐糖能が低下しているものが多く, 高インスリン血症をきたしている事実が明らかとなった. したがって, 高血圧と糖尿病には, インスリン抵抗性という共通の病態が存在すると推測され, 両疾患が密接に関連している可能性が示唆された.