糖尿病
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Type Aインスリン受容体異常症に認められたインスリン受容体チロシンキナーゼ領域の点突然変異(Trp1193→Leu1193)
巖西 真規小林 正内藤 敬子板津 武晴繁田 幸男
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1993 年 36 巻 1 号 p. 7-15

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抄録

インスリン受容体異常症A型と考えられた症例について, インスリン抵抗性の機序解明のため, インスリン受容体の蛋白レベルでの機能およびその遺伝子解析を行った.(1) 培養リンパ球でのインスリン結合は正常下限を示した.(2) 培養リンパ球より精製したインスリン受容体の自己リン酸化能はインスリン最大刺激時, 正常の45%と低下を示した.(3) genomic DNAを用いインスリン受容体遺伝子各エクソンをPCR法にて増幅し, direct sequenceにより, kinase domainのExon20のcodon1193にTrp (TGG)→Leu (TTG) のヘテロ接合体としての点突然変異を認めた.(4) 同部位の変異は本患者と同程度の高インスリン血症を示す母親, 妹にも認められ, 母親由来である. 以上より本症例のインスリン抵抗性は変異部位がtyrosine kinase familyのほぼ100%で保存されており, kinase活性を保つ上で, 重要な部位と考えられ, tyrosine kinase activityの低下が生じたためと考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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