糖尿病
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収縮期血圧のスペクトル解析を用いた糖尿病患者の交感神経機能の検討
岡 尚省持尾 聰一郎佐藤 健一佐藤 浩則磯貝 行秀
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1993 年 36 巻 11 号 p. 829-838

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抄録

収縮期血1圧の短時間の変動をスペクトル解析することにより糖尿病患者の交感神経の基礎活動の障害を検討した.対象は糖尿病 (DM) 患者23名 (平均年齢49.7歳) および健常者23名 (平均年齢52.1歳) である. 方法は収縮期血圧を非観血的連続的に測定し最大エントロピー法で0.02~0.15Hzの低周波 (LFC) と0.15~0.5Hzの高周波成分 (HFC) を算出しその積分値をそれぞれSYSLFC (mmHg2) およびSYS-HFC (mmHg2) とした. DM患者では他の自律神経機能検査や起立性低血圧および臨床的諸病態との関連を検討した. 結果はSYS-LFCは健常者4.16に対してDM患者は2.08で有意に小さかった. SYS-HFCに関しては両者に差はなかった. Valsalva overshoot, 寒冷昇圧試験が障害されている群, および起立性低血圧を認める群でSYS-LFCが有意に小さかった. また, 末梢神経伝導速度の低下している群でSYS-LFCが有意に小さかった. 糖尿病患者において, 収縮期血圧の低周波成分は交感神経基礎活動の障害の評価に有用である.

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