1993 年 36 巻 11 号 p. 861-867
高コレステロール血症 (220mg/dl以上) を合併したインスリン非依存型糖尿病28例に, コレステロール合成の律速酵素HMG Co Areductaseの阻害剤simvastatinを5mg/日, 6カ月間投与し, remllant like Particles (RLP) に及ぼす影響を検討した.RLPコレステロール (RLP-C), LDLコレステロール (LDLC) は, simvastatin投与後有意に低下した. 高脂血症IIb型では, RLPC, RLPトリグリセリド (TG) の変動はともにTGの変動と高い相関を認めたが, LDL-Cの変動とは全く相関を認めなかった. IIa型では, RLP-TGの変動はTGの変動と高い相関を認めたが, RLPCの変動はTGよりLIDLCの変動と高い相関を示した.以上の結果から, 糖尿病においてsimvastati1のRLP低下作用を認め, 動脈硬化進展阻止に有用と考えられた.また, IIb型では, そのメカニズムにLIDLレセプター以外のRLP代謝経路の関与が示唆された.