糖尿病
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II型糖尿病患者における尿トランスフェリン, アルブミン排泄量
三崎 盛治嶋 照夫江崎 淳住田 安弘白山 究
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1993 年 36 巻 12 号 p. 909-915

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抄録

尿蛋白定性陰性, 正常血圧のII型糖尿病患者61名, 正常対照者19名の早朝第1尿のalbumin (Alb), transferrin (TF), β2-microglobulin (β2M) を測定し, 血糖コントロール並びに尿蛋白量の程度とAlb尿, TF尿の関係を検討した. なお患者6名の治療前後の1日尿糖Alb, TFの変動をみた. コントロール適切群 (HbA1c<8%) の尿TF, Alb間, 尿TF, β2M間に有意な正相関 (r=0.95, p<0.002, r=0.46, p<0.02) を認めたが, 尿Alb, β2M問に相関はない. またmicro Alb尿群の尿TF/Alb比はnormo Alb尿群にくらべ有意に高値を示し (p<0.01), 尿Albと尿TF/Alb比との間に有意な正相関を認めた (r=0.61, p<0.02). normo Alb尿群のうちコントロール不良群の尿TF, TF/Alb比はコントロール適切群にくらべ有意に高値であった (p<0.05, p<0.01). 治療前の尿糖, 尿TF, TF/Alb比は治療後いずれも有意に低下した (p<0.02). TF尿は血糖の影響をAlb尿にくらべより受けること, 糖尿病腎においてTFはAlbと異なる取扱を受けるものと考えられる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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