1993 年 36 巻 6 号 p. 469-474
本会加盟の糖尿病クリニックで3年間に経験した肥満NIDDMの一過性ケトーシスを集計した. 男20例, 女5例であり, 10代から30代に多かった. Body mass indexは27.6±5.4kg/m2, 最大体重時は32.1±5.2kg/m2. 以前から糖尿病を指摘されていたものは5症例のみであった. 22例はケトーシス発症前に1日平均2.2lの清涼飲料水を飲んでおり, その期間は1~3カ月の例が多かった. アシドーシスは3例, 意識障害は7例で認めた. 空腹時の血中C-peptideは1.90±0.96ng/mlと比較的保持されていた. 20例はインスリン治療を行ったが, 最終的に22例は食事療法のみで良好なコントロールが得られ, 2例は経口血糖降下剤で加療された. NIDDMの素因を持つものが高血糖に気づかず清涼飲料水を多飲し, glucose toxicityによる悪循環に陥りketosisをきたしたものと考えられる.