1993 年 36 巻 7 号 p. 523-530
抗グノレタミン酸脱炭酸酵素 (GAD) 抗体は, I型糖尿病 (IDDM) のマーカーとして近年, 注目されている. 今回我々は, 精製ラット脳GADを用いて, 抗GAD抗体を検出するラジオイムノアッセイ (RIA) 法を開発した. その方法は, 患者血清を125I標識した精製GADと反応させた後に, プロテインGビーズで沈降させ, その放射活性を測定するというものである. その結果, 正常人38検体の平均/直+3SDを超える値を陽性とすると, 発症後1年以内のIDDM群では59.5%(22/37) が陽性であり, II型糖尿病群の陽性率5%(1/20) との間に明らかな差がみられた. また陽性率と抗体価は低いながらも, 強皮症と慢性関節リウマチ患者の一部にも抗GAD抗体陽性の可能性が示唆された. このRIA法は簡便で感度も良いため, IDDMのマススクリーニングのみならず, 抗GAD抗体の標準化にも有用であると思われる.