糖尿病
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糖尿病性ケトアシドーシスの急性期に一過性のST上昇をきたした1例
過去20年にわたる偽性心筋梗塞報告例との比較検討
渡邉 真理明比 祐子伊東 祐信桑原 寛橋口 純伊東 康子浜口 和之桶田 俊光坂田 利家高木 良三郎
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1994 年 37 巻 10 号 p. 767-772

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抄録

症例は49歳, 男性. 平成3年10月2日より風邪気味であった. 10月6日から連日7~8合を飲酒し, 8日午後より口渇, 全身倦怠感が出現. 翌朝症状が増悪し, 腹痛も出現したため来院した. 血糖798mg/dl, 尿糖 (卅), 尿中ケトン体 (卅), 血清K7.1mEp/l, 血液ガスにてpH7.08であった. ECGでST上昇が認められ, 急性心筋梗塞 (AMI) の合併が疑われた. しかし, 血清K値の是正により3時間後にSTレベルは正常化したため, 高K血症に伴ったST上昇と考えられた. 本症例のようにケトアシドーシス発症時にST上昇をきたすことは稀で, 過去20年間に11例が同様の病態を呈し, 偽性心筋梗塞という概念で報告されている. 既報告例と我々の症例との詳細な比較検討を行った.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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