中等度ないし良好にコントロールされたNIDDMにおける高脂血症の頻度と治療の実態を調べた.福岡県下の代表的施設の糖尿病再診外来で, 1月末の1週間に空腹時採血を受けたNIDDM全患者680名 (男女比1: 1.1, HbA1c 7.3±1.5%) を対象に, 血清脂質と高脂血症薬剤の投与状況を調査した.施設問の血清脂質値のぼらつきは標準血清の同時測定で補正した.高脂血症は全体の52%にあり, 高脂血症薬はそのうちの32%に投与されていた.主にHMGCoA還元酵素阻害薬が使用されており, 高コレステロール血症 (>220mg/dl) は投与前の48%から32%に減少していた.しかし, 高中性脂肪血症 (>150mg/dl) や低HDL血症 (<35mg/dl) の頻度には大きな変化がなく, それぞれ22%と7%に認められた.HbA1cの施設問変動は各施設の正常平均値で補正したが, HbA1cと血清脂質との間には明らかな関係を認めず.アルコール摂取は1日30g未満から総コレステロールを有意に下げ, 30g以上80g未満では中性脂肪を上げていた.