抄録
糖尿病患者の交感神経機能異常を早期から客観的, 定量的に評価できる方法を見いだす目的で, 糖尿病患者50例, 健常人58例に対し, 安静時の指尖脈波の波高変動係数 (CWWH), 氷水負荷後の脈波波高の減少率 (RWH), 5分後皮膚温の同復率 (T5) について検討した.T5, RWHには50歳までは加齢による変化は認めず, 脈波で動脈硬化波形を示す群でCVWHは低値, T5は高値の傾向を認めたが, RWHには差を認めなかった。糖尿病群では健常人よりRWHは40歳以上で有意に低下しており, 自律神経症状を有する群でCVWH, RWHは低値, 起立時血圧低下が30mmHg以上あるいはCVR-Rが異常低値の群でCVWH, RWHは有意に低値であった.さらに88症例の検討で, RWHが30%未満となると高頻度に自覚症状やCVR-R異常が出現し, RWHの異常値としての境界値と考えられた.氷水負荷による脈波波高減少率は, 加齢による影響が少なく, 交感神経機能の検査法として, 簡便かつ有用な方法であると考えられた.