1994 年 37 巻 12 号 p. 895-900
妊娠により1, 5-AGが低下する原因を明らかにする-助として, 正常妊婦30名, 糖尿病妊婦61名において, 分娩時の母体血中および臍帯血中1, 5-AGを, gas chromatographを用いて測定し, 1, 5-AGの母児相関を検討した.
分娩時母体血中1, 5-AGは, 対照の正常妊婦10.4±5.0 (M±SD), 糖尿病妊婦3.4±1.9mg/lと, 糖尿病妊婦では正常妊婦に比し有意に低値であった (P<0.0001).これらの母体から出生した児の臍帯血中1, 5A-Gは, 分娩時母体血と同様の結果であり, 分娩時母体血中1, 5-AGと有意な正の相関を示した (r=0.987, P<0.0001).母体血中1, 5-AGは胎盤を通過して児に移行することが示唆された.
インスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) 妊婦においては, 分娩時母体血および新生児臍帯血1, 5-AGは, heavy-for-dates (HFD) 児ではappropriate-for-dates (AFD) 児に比し有意に低値を示した.臍帯血中1, 5-AGと分娩時児体重との間には有意な負の相関が認められ, 臍帯血中1, 5-AGはNIDDM母体の胎児成長と関係のあることが示唆された.