1994 年 37 巻 4 号 p. 247-253
本研究は, 高ブドウ糖濃度 (HG) による培養メサンギウム細胞の増殖能, 細胞障害性, 接着・伸展能の変化を明らかにし, それらの変化が, 高浸透圧の効果か否か, さらにポリオール代謝異常に起因するか否かを, epalrestatを用い検討する.HG (33~50mM) 条件下では, 5mMの低ブドウ糖濃度 (LG) に比し, 細胞数の減少ならびに [3H]-thymidine uptakeの低下がみられた.高マンニトール (HM) 条件下では, 増殖能はLGとHGの中間を示した.HGによる増殖抑制はepalrestatを添加しても是正されなかった. 一方, HG条件下では, [51Cr]-放出率の増加や接着・伸展細胞率の減少がみられた.これらの変化は, HM条件下ではみられず, epalrestat添加により是正された。以上より, HGは培養メサンギウム細胞の増殖抑制, 細胞障害性の亢進, 接着・伸展能の低下をきたすことが明らかになった.さらに, 細胞障害性の亢進, 接着・伸展能低下の機序として, ポリオール代謝異常が示唆された.