高齢のインスリン非依存型糖尿病患者3例において, 合併する高脂血症の治療目的にベザフィブラートを投与したところ, 数日後より低血糖発作の頻発を認めた.3例とも経口血糖降下剤使用中であり, 1例はSU剤二次無効症例であった.症例1ではグリベンクラミド2.5mgをトルブタミド500mgに変更, 症例2ではグリベンクラミド6.25mgを2.5mgに減量, 症例3ではグリベンクラミド10mgとブフォルミン100mgを全て中止したが, いずれの症例もHbA1c 5.2~6.6%の良好な血糖コントロールを保った.SU剤投与中の患者でのべザフィブラートによる低血糖誘発の報告は他に1例を認めるのみであり極めて稀である.いずれも高齢者における薬物クリアランスの低下により, ベザフィブラートの耐糖能改善効果およびSU剤との薬物相互作用の程度が増強された可能性が示唆された.