糖尿病
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糖尿病に合併した気腫性腎盂腎炎の1例
阿部 茂樹菅原 盛家
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1994 年 37 巻 5 号 p. 365-370

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抄録

Evans症候群の合併, 心筋梗塞の既往など全身状態の不良な気腫性腎盂腎炎の1例である.腹部CT検査, 腹部単純写真にて左腎実質および腎周囲組織にガス像が認められた.起炎菌はKlebsiella pneumoniaeであった.超音波ガイド下にてドレーンを留置し細菌学的検査を繰り返しながら化学療法を行い約5カ月の経過で保存的治療にて治癒した.気腫性腎盂腎炎は大部分を糖尿病を基礎として発症し急速かつ広範に感染が進行し患側腎機能の廃絶のみならず高率に敗血症を伴いそのため予後は比較的重篤で外科的治療を必要とする報告が多くなされて来た.しかし近年化学療法の進歩やエコーガイド下ドレーン挿入技術が一般化したことから本症例のように全身状態が良好でなく外科的治療にリスクの高いものも保存的療法で経過を観察し, 腎の機能的な評価を行いながら外科的治療をするか保存的療法を続けるかを判断する症例も増えてくるものと考えられる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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